金剛寺について

金剛寺について

金剛寺は1100余年の歴史を持つ真言宗のお寺です。
開祖は第三代天台座主の慈覚大師 円仁阿闍梨。
円仁阿闍梨は、天台宗を開いた最澄の愛弟子であり、最後の遣唐僧として天台宗を完成させました。
日本で最初に朝廷から「大師」号を授かった人であり、日本各地に多数の寺を開山されております。
そのうちのひとつが、龍王山 金剛寺です。

金剛寺
金剛寺
金剛寺

開山のいわれ

今から約1100年程前、貞観年中に比叡山第三世の僧、円仁阿闍梨という僧が中国地方を行脚し、新野村 (現在の津山市 西上・西中・西下にあたる) に一宿されました。
そのとき、ある主人から
「この頃、山のふもとに光るものが出る」
ということを聞かされ、不思議に思いその場所に行ってみられたところ、丈5寸(長さ15センチほど)の正観音様がゆったりと石の上に立っておられ、そのそばに一人の翁が灯明を捧げておりました。
阿闍梨は「なにゆえここに居られるのか?」 と問われました。
翁、答えていわく
「この観音菩薩は、九ヶ月以前に辰巳のほうより一人の行者が持ち来たり、利益のある菩薩であるから、これを護ってくださる人を待っておった。我はこの山の主、龍王なり。」
といい、峰に昇り去りました。円仁阿闍梨は早速信者を集め、力をあわせて御堂を建立し皆と共に信仰することとなりました。
その寺を 「龍王山 金剛寺」 と名付け神仏を祀り諸々の供養をし、そのうち円仁阿闍梨は再び諸国行脚の旅に出られました。
その後、この観音堂は月覚聖人、掘坂村の内村宗盛を経て、楠木氏後胤、大先達玉林院智観法印よりその子孫に受け継がれ続け、第十七世となる現住職まで続いています。

金剛寺 第四世 玉林院宗盛法印により 延宝五年(丁巳)卯月朔日 記載

寺標

平成26年6月19日、當山復興事業の一つとして予てより計画しておりました『寺標』建立が完遂致しました。
この『寺標』の題字執筆者をご紹介致します。
天台宗総本山比叡山延暦寺飯室谷不動堂長寿院前住職で、叡山の荒行として知られる・千日回峰行を二度達成された、酒井雄哉大阿闍梨であります。
酒井阿闍梨が坐した比叡山飯室谷は慈覚大師開基の聖地であります。
當山は真言宗でありますが、開基は慈覚大師円仁阿闍梨であります。奇しくも双方の開基者が同人であり、酒井阿闍梨はこの法縁と當山の復興に対して非常にお喜びになられ、『寺標』建立に対しましても快くご協力下さいました。
『寺標』完遂の暁には酒井阿闍梨をお迎えして除幕することが願いでありましたが、残念ながら平成25年9月24日、世寿88歳を以て遷化なされました。
完遂を迎えた当日、當山供養堂に於いて一座の法会を厳修し謹んで寺標完遂の由を奉告致しました。
酒井阿闍梨に想いを馳せ、受けた御教えは必ず実践し社会にお返ししていくことをお誓い申し上げた次第であります。

金剛寺寺標

金剛寺のほとけさま

ご本尊 正観音菩薩 (秘仏)

観音菩薩(かんのんぼさつ)、梵名ではアヴァローキテーシュヴァラ。
「救いを求める人を注意深く観察し、意のままに救う」という意味です。
「観世音菩薩」または「観自在菩薩」ともいい、一般的には「観音さま」とも呼ばれます。
「観世音」とは、救いを求める声を観じ、ただちに救済する、「観自在」とは、すべての人々を観じ、その苦を自在に救う、という意味です。 観音さまは、救いを求める声を聞き取り、幸福をもたらす抜苦与楽の菩薩なのです。
左手に、いまだ開いていない蓮の花をお持ちになっています。 泥の中から、光を求めて水面に進み、清らかな蓮の花を咲かせるその姿は、私たちを象徴しています。 どのような環境にあろうとも、本来の清らかさを忘れることなく、精進することを教えてくださっています。
ほとけの中でも特に秀でた慈悲と救済力により悟りへの導きを掌ります。

脇侍 不動明王

不動明王 (ふどうみょうおう)、梵名アチャラ・ナータ。
梵名の「アチャラ」は「動かない」、「ナータ」は「守護者」を意味し、「揺るぎなき守護者」という意味です。
大日如来が人々の悪心を調伏するために、忿怒の姿で現れし者、如来の命を受けた使者でもあります。
魔を降伏するために、目を怒らせ、右手には魔や煩悩を断ち切る宝剣を持ち、左手には魔を縛り、迷える者を救い上げるための羂索(投げ縄)を持つという大変恐ろしい姿をしておられますが、お心は人々を救済しようとする厳しくもやさしい慈悲に満ちております。
「火生三昧」といって、衆生の煩悩をほとけの大智慧の火炎で焼きつくし、悟りに導くことを本誓(ねがい)としておられるため、火炎の中におられます。
除災招福、病魔退散、家内安全、商売繁盛、受験合格などのご利益で親しまれている仏尊です。

脇侍 神変大菩薩

神変大菩薩は「役行者、役の小角」とも申されます。
大和の葛城山を中心に吉野の金峰山、大峰山などで修行を積み、修験道の開祖として仰がれております。
山岳信仰の第一人者であり、山野を駆け巡って御修行されたことに由来し、今日では特に足腰の弱い方をお救い下さるとも言われております。
修験者だけでなく、一般民衆にも、治病、医薬をはじめとする様々な効験をもたらす神とされ、厚い信仰をもたれています。
「神変大菩薩」とは没後千年以上の後に光格天皇から送られた諡号です。

脇侍 地蔵菩薩

地蔵菩薩、梵名クシティ・ガルバ。
クシティは「大地」、ガルバは「胎内」「子宮」の意味で、大地がすべての命をはぐくむように、無尽蔵の救済力を持って、すべての人の苦痛を救う菩薩様です。 霊験を示す如意宝珠と煩悩を除去する錫杖を持ち、子供の守護尊としても知られています。
また、治病、和合、立身出世なども掌ります。

脇侍 青面金剛(庚申さま)

青面金剛とは体色青黒く髑髏や蛇を身にまとった鬼神であり、四体の鬼神を眷属に従い、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿と共に表されます。
一般的に「庚申さん」として親しまれている仏尊です。 延命長寿、治病、除難、招福などを掌ります。
人間の体内には三尺の虫というのが住んでいて、庚申の日に天に上がり神様に、その人間が行った悪事を告げるという言い伝えがあります。
庚申さまにお祈りすると、神様に悪事を告げ口するような邪魔な虫は取り除いてもらえます。

守護神 毘沙門天(多聞天)

毘沙門天(びしゃもんてん)、梵名ヴァイシュラヴィナ。
一切のことを聞き漏らさない知恵者という意味です。 毘沙門天は仏教の守護神で、四天王の一尊とする場合は「多聞天」と呼ばれています。 よろい、かぶとに身を包み、左手に持つ宝塔より福徳を授け、右手の鉾は邪を払い魔を降伏します。
四天王の一尊で、北方を守護します。
招福を授ける財宝神で、勝負ごとの守護神でもあり、招福円満、災難消除などを掌ります。

九執(九曜星)

日月火水木金土の七曜に羅喉、計都を加えた九つの星神のことです。
これらの星々にはそれぞれの個人の運勢から、国家の盛衰、天変地異にも大きな影響があると観察されており、密教においては星の災いを祓うための星供養をさかんに行ってきています。
節分(立春の日)には星供養(厄除け祈願)を行っております。希望される方はお問い合わせください。
修法した後、御札をお送りいたします。

九執(九曜星)

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